研究概要 |
磁気圏サブストームの特性を, 今年度は次の3つの項目に分けて, 調査した. 1.サブストームの構成要素の1つである極光るジェット電流が, 2つの物理的に異なる部分(電場卓越成分と電気伝導度卓越成分)から成っていることを示すデータを整理した. 2つの勢力範囲はサブストームの時間によって大きく変わり, サブストーム爆発相以前には, 太陽風内の南向き磁場に対応する電場卓越ジェット電流が朝方と夕方側を流れるが, 爆発相(約30分間)には, 電気伝導度が真夜中付近で高まり, 電気伝導度ジェット電流が真夜中を中心に, 朝方は極光ベルトの赤道側を, 夕方側は極側を流れる. この複雑な2つの成分の関係は, 太陽風エネルギーがどのようなメカニズムで地球磁気圏に流入するか, という問題に関わっている. 2.人口衛生ダイナミックス1号が極地方の大規模なオーロラ分布を観測している時間の数分以内に, もう1つの衛生2号が軌道に沿って電場によるイオン・ドリフトを測定するという"同時"観測のサンプルを見つけ出し, 電離層の諸パラメータを計算した. 主として地表での磁場データから出発し, オーロラ分布から推定した電離層電気伝導度を用いて, 電位の汎世界分布を計算する. さらに, 計算した電位から電場を求め, 観測されたイオン・ドリフトに一致する電場と比較し, もとの電気伝導度を少しずつ変化させながら最良の電位分布に到達するアルゴリズムを作成した. 3.国際協同研究GISMOSに参加し, 世界各地のレーダー観測による電場と, 地上磁場分布を満足する電位分布を, 5分毎に計算した. 期間中について, サブストームの電位, 電流, ジュール熱の世界分布が, とくに真夜中付近で統計的な分布から大きく変形しているパターンを示すことがわかった.
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