研究概要 |
1.電子銃室用排気系の製作. 電子銃室を本体とは独立に排気するための真空排気系を設計し, ステンレス鋼管で特注製作した. 電子光学系とともに組みたて, 排気したところ到着真空度は1×10^<-6>Torrであり, 電子ビームを発生させるのに充分な真空度が得られた. 2.電子光学系の製作. 電子銃室, 対陰極, 偏向コイル, 集束レンズから成る電子光学系を特注製作した. 50kV用電子銃(既有設備)とともに組み立て本体真空槽にとりつけ, 電子ビームを発生させた. 電〓レンズ・蛍光スクリーン間距離1000mm, 蛍光スクリーン上でのビーム径0.15mmに設計されているが, 実際のビーム径は約0.3mmであった. 実験室内の交流電流により誘起される交流〓場の影響と思われる. 金箔による回析像をいろいろな加速電圧で観測し, 回析環の直径, 電子線の波長, 試料と蛍光スクリーンの距離が, 金の格子定数から予想される関係を満していることを確かめた. 3.PDA検出システムの製作. ホトダイオードアレイ(PDA, Hamamatsu C2326)をAD変換器(ADX-98)を介してパソコン(PC9801)に接続しビデオ信号を読み込むために, ピーク幅等の信号パラメーターの調整ならびに読み込み用ソフトの作製を行った. 蛍光スクリーン上の金箔による電子回析像を光学レンズを通して検出して読み込み, 数値表示ならびにグラフ表示を得た. 回析像は0.5sおきに新しく読み込むことができるので, 実時間観測ががきる. 4.液体薄膜保持装置の製作. 大気中において液膜を作り膜厚の時間変化をHe-Neレーザー光の散乱および回析によって観測した. 現時点で残っている作業は, 真空中に液体を導入し薄膜を作る装置を回析装置に組み込むことである. このため装置の完成にはあと数ヶ月を必要とする見込みである.
|