研究概要 |
本年度は様々な生物集団における構成要素間に働く相互作用が構造形成にどのような影響を及ぼすかという側面に焦点を当て研究を行い, 以下の成果を挙げた. 1.食物網, 特に栄養動態論に関して, 一見複雑に入り組んだ食物網を栄養段階に沿って, "解きほぐす"手法を開発し, この解きほぐされた形で食物関係の全体構造の特定を定量化する幾つかの指標を導出した. これにより, 与えられた系のエネルギープロセスの効率, エネルギー資源の分配過程の構造が時間と共にどう変化するかを定量的に検討することが可能になった(東) 2.群集レベルでは, 種間に働く競争, 並びに被食, 捕食の相互作用が系の種数や多様性にどのような影響を及ぼすかを構成種の特性と結びつけて解析し, 一定の法則性を導びいた(重定, 寺本) 3.細胞性粘菌の移動体における分化パターンの形成と調節機構について研究した. 2種類の細胞の密度に依存した運動様式の差を仮定することによって移動体の典型的なパターンが形成されること, さらに局所的な密度に依存した細胞型の転換規則を付加することによって移動体の大きさによらない比率の調節, パターンの維持が行なえることが示された. (小渕)
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