研究概要 |
微細藻類間アレロパシー現象を動力学的に解析するにあたって, まず中海優占藻類種間にどのような相互作用が観察されるかを検討した. 珪藻6種(Asterionella iaponica,Cyclotella nana,Nitschia closterrium,Skeletonema costatum,Cymbella sp.およびNavicula sp.)と緑藻1種(Planktonema lauterbornii)を用いた各組み合わせにおける2種混合培養の結果, 4種の特徴的な相互作用(片害作用, 相害作用, 搾取作用および片利作用)が認められた. 次いで, これらの相互作用を動力学的に解析するための基礎となる藻類の増殖曲線式を導出し, その適合性を検定した. 藻類の中には, 増殖曲線に明確な定常期が無く, 或る最大藻類濃度に達した後急激な減少期すなわち死滅期を持つものが存在する. そのような藻類の全増殖過程, すなわち誘導期から死滅期を含む藻類の増殖過程, も表示できなければならない. 導出した曲線式は, 10種藻類(S.dimorphus,S.capricornufum,Chlorella sp.P.lauterbornii,Cymbella sp.,C.nana,S.costatum,Navicula sp.,Ahabena flos-aquaeおよびMicrotis aeruginosa)を用いた72回の培養実験における藻類の増殖度を良く表示し, 既存の生長曲線式(Mitscherlich,LogistioおよびGompertz式)で表示できない急激な死滅期を持つ藻類の増殖度も追跡することができた. また, その曲線式を基礎として2種藻類間相互作用モデル式を導き, 珪藻を中心とした5種藻類(Cymbella sp.,P.lauterbornii,Navicula sp.,C.nana.およびS.costatum)における2種混合培養実験の結果を解析し, 式中の相互用パラメーターを評価した.
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