シズクガイの種内競争について:野外における最高密度(1平方メートルあたりの3800個体)の2倍、等倍、1/2、1/4の4段階の密度について、その生態的な影響について検討を行った。生存率については密度による差はほとんどみられなかった。しかし、成長率については生息密度が高くなるにつれて低下する傾向がみられた。詳細については現在解析中である。有機物の指標として底質中の窒素含量分析を行ったが、現在データの解析中である。 シズクガイとイヨスダレの競争について:上述生息密度でシズクガイ飼育中の容器にイヨスダレのを共存さして、その影響度をみるための飼育実験を行った。そのデータについては現在解析中である。 理論モデルによる競争の現存量に及ぼす影響の解析:消費可能な資源に限りがある場合(ここでは総物質量一定とする)について、生物経済を考慮した閉鎖的な生態学モデルを開発し資源獲得を競争する場合のexploitation型競争と競争相手の生理・生態的活性を低下させるinterference型競争についてそれらが共存可能性に及ぼす影響について検討を行った。その結果、初期の現存量のいかんにかかわらず、生理・生態的特性値に応じたある安定現存量に達すること。単純な競争系では系を安定させるためには総物質量が重要であること。exploitation型競争系の場合は生理・生態的特性に応じて現存量を分けること。interference型競争では競争能力のわずかな差によって、安定的に共存可能にするための総物質量が著しく増大すること等々がわかった。
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