容器大(1092cm^2)を使ってシズクガイの生息密度を変えた(野外での最高密度の0倍、4分の一、2分の一、等倍、2倍)実験では4分の1密度、2分の1密度ともに死亡がほとんどみとめられなかった。しかし、等倍では10%、2倍密度では20%の死亡となった。餌の指標としたタンパク質では シズクガイの生息密度による差はみとめられなかった。シズクガイの種内競争の場合、死亡率よる影響としてみると、各密度とも平均的にはほぼ5%であるが、バラツキがかなりあるので各密度で差はなく、この範囲では死亡率は密度に影響されないことがわかった。餌量を底質のタンパク質含量でみると、平均的には0.6から0.75%と変化し多少の違いがあるようにみえたが、バラツキが大きいので密度による差はないと結論づけられた。成長率でみると、実験前の数量が0.8cm以上の個体では1前後の値を示し、貝殻の成長にもマイナスの場合があることを示した。0.8cm以下の個体では4分の1密度と2分の1密度で差が殆どみとめられないものの、概しては生息密度が低いほど成長率が大きくなる傾向を示した。 イヨスダレガイとの種間競争の場合、死亡率、タンパク質含量ともに密度による差はみとめられなかった。成長率についてはシズクガイ単独より傾向として多少多めの影響を受けた。等々の結果が得られた。 以上の実験結果より以下のように結論づけられよう。餌に対しては競争はみとめられなかった。死亡に対しては空間の広さが関係し、広い場合に競争の影響がみとめられた。成長に対してはほとんどの場合競争の影響がみとめらた。したがって、競争の影響を成長量の差として表現し生物経済的な量で示されることが明らかになった。
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