研究概要 |
申請時に予定していた計画は以下の様なものであった. -1)スフェロプラスト法により得た各種形質転換株の解析, 2)co-culture法により得た各種形質転換株の解析, 3)植物腫瘍クラウンゴールの初期過程における生理的解析. これらの実験計画において当該年度の予定されていたものについては, 概ね予定通り進展している. 現在, 生理的解析により性質の特定された細胞株については, スフェロプラスト法, co-culture法の双方について, 形態的に, 1)hemi-spherical,2)teratoma,3)compact-snowy,4)bud-likeなどと分類された細胞株のグループが見い出された. これらの形態的に同一の分類群に属する細胞株は, 生長速度・硬さ・オパイン合成酵素活性などに関して類似した性質を示すことが確認されており, また, アグロバクテリウムの初期感染過程についても走査電子顕微鏡観察などにより, その感染時の挙動が追跡されている. 具体的には, co-culture開始時から4〜8hr後に植物細胞へのアグロバクテリウムの付着が見られ, その中には, 細胞表面に対して直立したものも見られる. また, 今のところ, 宿主城による植物細胞への付着の差異などは見られていない. 上記の様に, 大筋では当初の計画に添って進展していると言える. しかしながら, 形質転換細胞株について, それまでに保持していた株に加えて, さらに予想以上に多数のバリエーションが得られた為, それらの細胞株の維持(継代培養)・分類整理・生理的解析に予定していたより以上の時間が必要となった. その結果, 各細胞株について生理的解析を行い, 性質を特定するスケジュールの一部が63年度に持ち越されることになりそうである. しかし, この件については分析の対象となる多数の形質転換株から, それらの細胞株の多様性について, より多くの知見が得られることが期待される.
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