研究概要 |
日本の南西部を占める南西諸島の植物相の起源・形成過程を解明するための研究のひとつとして, 植物相の分断による子孫植物相の形成を取上げ, 考察することが本研究の目的である. 本年度は, 具体的研究に先立ち, これまで南西諸島の生物相に関して提案された諸見解を整理し, これをレビューした. さて, 子孫植物相の形成は, 各種の地史的要因による祖先植物の寸断とそれにともなう固有化現象により起ると仮定する. 本研究では, 現在の植物相構成種の中から固有種を含む種群を捨象選択して, それぞれの種群における系統進化を推定した. その結果を分断図に表わした. 取り上げた種群は, ユキノシタ科アジサイ属(Hydrangea), クサアジサイ属(Cadiandra), ベンケイソウ科マンネングサ属(Sedum), リュウキュウベンケイ属(Kalanchoe), アオイ科フヨウ属(Hibiscus)である. 次年度は, それぞれの種群について, area cladogram(地域分岐図)を作成し, 本年度完成した系統分岐図と対比させ, reduced area cladogram(生物相分岐図)(仮称)を導き出す予定である.
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