研究概要 |
1.PC12細胞のNGF受容体のモジュレーションについて PC12細胞は2種のNGF受容体を持ち, NGFとの相互作用によって交感神経様細胞に分化することが知られている. 我々はNGF受容体レベルでのモジュレーションが, 細胞のNGFに対する応答性を調節している可能性を検討した. まずイオン環境を変えてみると, ^<125>I-NGFの結合は外液のK^+イオンによって変化することを見出した. 結合量を調べると表面への結合及び細胞内への取り込み共に増加していた. K^+イオンの効果は可逆的でありベラトリジンのような脱分極剤によってもひきおこされた. ^<125>I-NGFの結合量の増加は2種のNGF受容体レベルで, みかけ上の結合量が増加するように起った. K^+イオンの生物学的な効果は顕著ではなかったが, 低いNGF量(0.01〜1ng/ml)を投与したPC12細胞を高K^+培地に移すと, 突起形成能が増強された. この効果はNGF濃度が高い時には見出されなかった. 長時間のNGF処理では高K^+の効果は著しくなかった. 高K^+は細胞の接着を高める以外に, NGFの結合を高めることによってその効果を増強していると考えた. 現在カテコールアミン等による^<125>I-NGF結合の調節を検討中である. 2.PC12細胞の神経伝達物質の放出の調節機構 PC12細胞の高K^+処理によるドーパミンの放出はホルボールエステル処理によって増加した. この増加の理由を本研究課題と9関連で調べた. ホルボールエステル処理下では高K^+により増加する細胞内Ca^<2+>は低下する. 一方増加するドーパミン放出はニカルジピン, Cd^<2+>, Co^<2+>で対照細胞のそれよりより効果的に阻害された. ラパミルでは部分的にしか阻害されなかった. このことからプロテインカイネースCが高K^+によるドーパミンの放出をニカルジピン感受性のCa^<2+>チャンネルの修飾という形で増加させていると判断した. NGF処理の効果も調べている.
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