肝シトクロームP-450は、異物や薬物の代謝に働く主要な酸化・還元酵素である。これにはいくつかのアイソザイムの存在が知られている。雄ラットにフェノバルビタールを投与した時、肝に誘導されるこの酵素のアイソザイムのシトクロームP-450PBを、抗ウサギP450PB血清を用いて免疫組織化学的に定量する方法を確立し、この方法によりラット肝P-450PBの加齢変化を調べてきた。 BN/BiRij系雄ラットを用い、フェノバルビタール投与後、肝に誘導されるP-450PB含量の加齢変化を、定量方法の改善を加えて、3、13及び30ヶ月齢について調べた。その結果、P-450PB含量は、30ヶ月齢では、肝葉の違い、肝小葉上の部域の違いは失われ、一様に減少していること、肝小葉中の肝静脈周辺部と肝門脈周辺部との間に見られるP-450PB分布の差異は3ヶ月齢ラットでは全ての肝葉において有意であるが、13ヶ月齢では尾状葉のみで有意であることが明らかとなった。 このような肝シトクロームP-450PBの加齢変化を、更に肝細胞内微小器官のレべルで明らかにするため、電子顕微鏡での免疫細胞化学を試みてきたが、今までのところ見るべき成果が得られていない。 また、他のアイソザイムの加齢変化を検討中であるが、抗体の入手が実現していない。
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