研究概要 |
62年度の研究は基盤構造の推定方法の開発に重点をおいた. 開発されつつある方法は3つの側面より成り立っている. 第1は野外での測量である. 第2は, リモートセンシングに属するもので, 写真地質解析である. 第3は, コンピューター処理による基盤データーのデーターベース化とその解析である. 野外調査は平板とオートレベルを用いた100分の1等高線図, 岩相図の作製を主としている. これは従来の方法にくらべると極めて正確な信頼性の高い情報を多量に集めることができる. しかし一方ではこれは大変な労力と時間を要するので, 省力化と同時に多量のデーターを集めるために簡易リモートセンシングとしてステレオ写真解析による等高線図の作製, 地質構造図の作製が研究されている. このためにはセスナ機による低空写真, 気球写真, 大型三脚によるステレオ写真を用いる方法をほぼつくりあげることができた. これらの3次元的資料はコンピューターグラフィックスとして基盤等深線図と連絡することができる. 以上の研究から多数の断層群が発見され, また断層群, 断層密度が広域的に変化してゆくことがわ〓〓わかってきた. 多くの場合, N20゜Wの出牛黒谷方向, N70Eのうぐいすの瀬断層方向, N20゜Eの親鼻橋断層方向, N70゜W方向の関東山地方向などに整理されるが, これらの断層群は地域毎に少しずつ性質を変えてゆく. 特にN70゜Wの関東山地宝庫の断層群は関東平野に近づくに従って南北方向に高角度化してゆくことがわかったが, これは関東平野直下の構造を推定するうえで極めて重要な事実である. また, 各断層群における断層分布密度の変化から, 広域的応力場, 力の伝達機構などについて多くの情報を得つつある. 関東平野基盤を包有するプレートの微細な変形, とう曲などを解明することが可能であろう.
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