研究概要 |
1.多角部と円形のふたつのタイプのコールドロンの形成機構を解明するために, 野外調査と地殻の変形シミュレーションを計画した. 野外調査では円形のコールドロンの断裂系の復元に力点をおいた. そのために, 本年度の研究計画では, 島根県の桜江地域と広島県作木地域のコールドロンをあげておいた. 2.桜江地域の調査では, コールドロン内の火砕岩類と基盤の三郡変成岩との関係は従来から予想されていた通り環状断裂である事が明らかとなった. また, 新たな知見として, 縁辺基盤中に縁辺の走向と直交する岩脈群が多数発見された. これらの岩脈は, コールドロン発生期の断裂を充填したものである可能性が高いので, コールドロン発生時の断裂を単純な環状断裂だけで説明するのは難しい. おそらく放射状断裂をともなっていたであろう. 3.作木コールドロンは, 縁辺部が環状〜直線状の断裂によって境され, 一部では環状岩脈が貫入している. コールドロン埋積層は盆状構造をなしており, 本宿型コールドロンの第二次陥没(藤田ほか,1970)に相当する. 4.作木コールドロンでは, 補獲岩を多数含む貫入岩が縁辺部に発見された. これは, 岩脈貫入時に母岩が破砕されたことを意味し, コールドロンにともなう半深成岩の貫入が地下陥没によって生じるという筆者の仮説を裏づけている. 5.本年度の設備費によって納入したパーソナルコンピュータで有限要素法のためのデータ入出力プログラムを開発した. 開発効率を高めるため, 言語にはCとFORTRANを併用し, "要素の自動作成""データのホストへの転送""結果(応力と変形)のグラフィクス表示"の3本のプログラムを新たに開発した.
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