マグマ溜りの上昇にともなう陥没形成の機構を、三次元有限要素法により解析した。マグマの活動によって生じる地表の断裂には、放射状断裂や環状断裂が知られているが、これらの断裂の相互の切断関係や前後関係は充分には解明されていない。しかし、このことが実はコールドロンの形態を決定する重要な要因になっていると考えられる。このような断裂形成の相互関係は弾性論による解析では解くことができないので、地殻を塑性体とみなし、Mohr-Coulonbの降状条件下で数値解析した。 その結果は次の通りである。まず、マグマだまりの上昇にともなって地表にドーム隆起が生じる。ドームの中心付近ではα_3がほぼ直立しており、隆起の進行にともなって主応力の方向が刻々と変化する。ドーム中心付近のα_1とα_2は、ともに正値の引張応力であるが、その差はわずかである。このため、最初は(弾性体のうちは)α_1が同心円の接線方向を向いているが、要素が降状すると応力の上昇がにぶくなり、α_2とα_1が入れかわることになる。したがって、最初はドーム中心部に放射状断裂が生じるが、隆起が進行するにつれて、応力が回転して同心円状断裂が発達するようになる。このことは、ドーム隆起中心付近では、単一の系統の断裂が形成されるのではなく、放射状断裂→同心円状断裂という順序で断裂が発達することを意味している。しかし、どちらの系統の断裂も正断層型であることにかわりはない。これらの断層の組み合わせによって、多角形のコールドロンが形成されるものと考えられる。
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