研究概要 |
本年度は, 愛媛県八幡浜市地の大島や三瓶町周木付近を中心に東方の城川町にかけて, 徳島県や高知県下に分布する外和泉層群と比較検討しながら調査研究をおこなった. 研究計画に沿って放散虫化石等の発見に努めた結果, 数ケ所の泥岩中から放散虫化石を検出した. 現在, 種名の同定をおこなうとともに, さらに発見に向けて次年度の試料採集地や採集密度の検討をおこなっている. これまでに得られた知見およびこれからの課題は次のとおりである. 1.外和泉層群あるいは相当層は, その堆積の始まりの時代が, 大局的には西から東へと若くなっているように思える. このことについては, 次年度に放散虫化石等での精度の高い時代決定をおこなった上で結論を出したいと考えている. 2.四万十層群や内帯の和泉層群と外和泉層群との堆積および地質構造的環境の違いは, 四万十層群はプレートの沈み込みに近い位置に, 和泉層群は火山活動の場に近い位置にあり, 外和泉層群はその中間に位置していたという点にある. 外和泉層群と和泉層群は, 三波川帯の東西方向に伸びる高まりによって堆積の場が境されており, この高まりの間穴的な上昇運動によって, 外和泉層群の堆積速度の変化やスランプ構造などの堆積構造や地層の逆転, 低角度衝上などの地質構造が形成されている. これらの構造のより詳細な解析や発達史を編むことは次年度の課題である. 次年度の研究計画に沿って野外調査, 室内研究をおこない, 西南日本の白亜紀末期の堆積盆の発達, 堆積のメカニズムについてプレート論的に考察し最終的には四万十帯が付加帯なのかどうかについても論じたい.
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