研究概要 |
九州北部(主に福岡県内)諸炭田の基底部の堆積相と基盤岩・基盤地質構造との関連性に重点をおいて4炭田7地域(小倉炭田下関・戸畑両地域, 筑豊炭田田川南部・嘉穂山田両地域, 粕屋炭田粕屋東部・博多南東部両地域, 三池炭田東北部地域)の野外調査を行った. 調査時の天候・現地での露頭状況などにより調査精度に差異を生じ, さらに検討すべき点を多く残しているが, 調査全域で共通的に次のように概括できる. 1.炭田を構成する第三系基底部では著しい基底礫岩を伴うことは少く, 一般に砂岩ないし礫混り砂岩ではじまり, 基盤の岩質に関係無くアルコーズ質であることが多い. 2.基盤との接触面(不整合面)は平坦でなく, 原地形が様々の規模の起伏があったことを示す. しかし炭田内では極端な突出あるいは凹地形の例は比較的少く, とくに基盤岩が花崗岩質の岩系では原地形の起伏があまり検出できない. 3.粕屋炭田での予備調査で見出した地すべり性堆積物に類似した岩相を示す地層が数個所で確認できた. それらの規模や周囲の堆積層との関連などの精しい検討は次年度以降の調査で順次明らかにしたい. 4.本年度の調査では基盤岩の地質構造が炭田堆積盆地の原地形と密接な影響を示すような成果は得られなかった. 炭田第三系基底部には基盤岩にまたがる多くの断層があり, 各岩層の分布を複雑にしているが, これらが堆積盆形成初期から存在していたのかの可否にはなお検討が必要である. 5.三池炭田では第三系基底部の分布調査に重点をおいたため, 上記の共通点のすべてが該当するかの確認はしていない. 基底部の分布は広く, 現在の標高差も大きく, それらの把握に手間取っている.
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