研究課題/領域番号 |
62540591
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学一般
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
斎藤 靖二 国立博物館, 地学研究部, 室長 (00000133)
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研究分担者 |
松原 聰 国立博物館, 地学研究部, 主任研究官 (40000137)
加藤 昭 国立博物館, 地学研究部, 室長 (70000114)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | チャート / 続成過程 / 放散虫 / 珪質海綿骨針 |
研究概要 |
日本列島をふくむ造山帯に特徴的なチャートは、放散虫や珪質海綿骨針のような珪質生物遺骸の集積によって形成されたもので、わずかに風で運搬された粘土鉱物や海水晶出起源の鉄・マンガン鉱物などをふくむ。このことを陸源の粗粒砕屑物を全くふくまないことから、チャートは深海底で堆積埋没し続成過程を経たと考えられる。珪質生物遺骸を用いた熱水処理実験によると、珪質堆積物の続成過程では、珪質遺骸をつくる非晶質シリカの溶解と間隙へ二次的シリカの沈澱と両反応が進行することが確かめられた。鉱物学的には、温度の上昇とともに、珪質遺骸の非晶質シリカはオパールCTに変化して、ついには石英の集合体となる。野外観察によると、異地性地塊として泥質岩中に産するチャートに、高間隙水圧下で生じた泥質物のインジェクションや圧力溶解によるマイクロスタイロライトが確認された。こうした実験結果と野外の事実から、チャートの続成過程は次のように考えられる。珪質堆積物の埋没とともに圧密作用が進行し、孔隙率が減少する。同時に珪質遺骸が間隙水に溶解し、その溶存シリカは次第に飽和していく。さらに圧密作用が進行しつつ埋没していくと、温度の上昇とともに孔隙へのシリカの沈澱がはじまる。間隙水のシリカ濃度の変化に応じて、シリカの溶解・沈澱がおこり、孔隙は二次的シリカで充填されていく。この結果、珪質堆積物は固結して硬いチャートに変化する。チャートには珪質遺骸が残存していることから、オパールCTから石英への変化は基本的には固相の状態で進行したと考えられる。こうした続成過程に加えて、チャートは深海底から沈み込み帯までプレートで運ばれ、付加するときに変形をともなった再続成過程を受ける。そこでチャートは外力により破壊されてブロック化し、チャート内ではストレスによる圧力溶解作用で癒着し、固結化は一層進行させられたと考えられる。
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