研究課題/領域番号 |
62540593
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小笠原 憲四郎 東北大学, 理学部, 助教授 (20110653)
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研究分担者 |
中森 亨 東北大学, 理学部, 助手 (00192229)
森 啓 東北大学, 理学部, 教授 (00004466)
小高 民夫 東北大学, 理学部, 名誉教授 (70004257)
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キーワード | 浅海動物群 / 新生代 / 中生代 / テチス海 / 古海洋事件 / 生物地理 / 固有種 / 古地理 |
研究概要 |
昭和63年度は前年度の中期中新生を対象とした浅海動物群の形成を過程に関する考察を補充するため、福島県梁川町の中新統貝類化石について野外調査・化石資料の収集を行った。また、東アジア地域と本邦の新生代浅海動物化石群を比較するため、文献上での整理に努め、ジャワ・フィリッピン、台湾、八重山列島の構成要素を把握した。これらの整理には若干の謝金を室内作業経費として使用した。これらの整理を通じて得られた知見を関連する研究者と討議するため、その出張経費を使用した。この2年度にわたる研究成果を報告書として総括し、本邦新生代浅海動物の変遷とテチス浅海域との関連について古動物地理・古地理・古気候・古海洋事件などの最新の研究成果から検討を加えた。その結果、 1.中世代を通じて本邦とテチス浅海域で共通要素が多い 2.古第三紀では東南アジアの資料が散点的ではあるが若干の共通性が本邦とテチス地域に存在している。 3.新第三紀中新世中期にジャワ;フィリッピン、南西諸島、東北日本そして道南地域までの広域にわたって分布した要素が認められる。 4.中新生後期では地域的な固有種が形成され、特に本邦金塊で顕著である。 などの点が明確となった。これらの結果を古海洋事件の対応でみると、中新世初期にインド洋(テチス残存地域)と西太平洋(後期テチス要素)の生物地理的分断が生じ、この事件の直後に上述の3で述べた暖流系要素の北方への拡大・分散が起きていると考えられる。この拡大は現在型の黒潮が成立した事に起因していると判断できる。また中新世中〜後期の本邦近海での固有浅海種の成立過程は、テチス由来の暖音系種が、ほぼ5℃の平均気温の低下に対応して生じたことが予察できた。今後本研究で得られた結果を国際的な視野から具体的に考察する必要がある。
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