紡錘虫化石は古生代後期に発展、進化し、凡世界的に分布した。この時代の地質年代、生物の進化と絶滅、古生物地理、当時の大陸の位置関係などの研究には欠かせない材料であるが約3800種の識別同定には多くの文献と専門知識が必要である。しかしパーソナルコンピューターが普及して来つつある現在、データーベース化が行えれば多くの研究者に利用されることが期待される。 今回文献より各種のholotype種のデーターを採録し、そのデーターをコンピューターに入力し統一した表を作製した。特に今回最もデーターの入手可能なフェルベキーナ科についてモデルを作製しヤベイナ属、ネオシユワゲリナ属について全ての種のデータを収録した。また分類に必要なデーターを図と共に記録し幾つかの形質から検索が可能なようにカード化して将来光デスク装置が利用できるときに備えた。残りの種類については多少時間がかかるがいずれ集録したい。これらのデーターを利用して統計的な解析を試みた結果、予察的には例えば現在まで知られているヤベイナ属43種は産出層準や分布地域を考慮しても種教は整理され半数近くになる。またパラフズリナ属として報告されている種は180種を越えている。これらの化石種に対して現在の生物学的概念を取り入れ収録したデーターを数量化し統計学的手法を使い整理する必要がある。今回の研究はデーターの収集が目的であった為に時間的にも機材の購入も不可能であった。しかし近い将来現在普及しつつあるコンピュータと光デスク記録装置を利用することにより各種の記載データー、図版が容易に入手でき画像データーベース化が可能になり、更にパソコン通信を利用すれば世界の何処からも瞬時に必要なデーター、文献が入手され種の同定することが可能になる。
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