研究概要 |
福井県・勝山市北谷の杉山を主とし, 石川県手取川流域瀬戸野・柳谷付近にも足をのばし, 国際対比に重要と思われるTrigonioides,Plicatounio,Nippononaiaを中心としてその他の貝化石の採集を行った. 野外の調査と採集化石を検討の結果, 次のことが判明した. 1.北谷互層のTrigonioidesは予想どおりWakinoaに属するものが一種で, 以前報告されたTrigonioides Kitadaniensisはtetoriensisのシノニムである. 2.北谷互層からも新たにNippononaia及びPseudohyriaの産出が判明した. それ故, 赤岩亜層群と石徹白亜層群の対比の可能性もでてきたが, 柳谷(石徹白亜層群)での採集がよくできていないので検討を次年度に送りたい. 3.以前から手取川流域の瀬戸野の桑島互層より報告されていた. "Protocyprina naumanni"は中国等で報告されているSphaerioidesの可能性が強い. 又従来海棲の要素としては石徹白亜層群からはカキ化石のみであったが, 瀬戸野においてBakevelliaを採集した. 上記の結果を綜合すると, 赤岩亜層群と石徹白亜層群との対比も問題を残すが, T.P.N.フォーナを最もよく産する赤岩亜層群の北谷互層を中心に考えると, 北谷互層は韓国の蓮花洞(Yeohwadung)層の群集に最も近いと考えられる. しかし最終的な検討は明年度の柳谷での化石採集をまって行いたい.
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