研究概要 |
昭和62年度上半期に送風定温恒温器を購入して, 秋田県に豊富に存在する珪藻土を出発物質とし, テフロン製容器を用いて粘土鉱物の合成及び反応速度論的な検討を行った. 秋田県鷹栄町産の珪藻土を乾燥し, 48メッシュのフルイを通した粉体と, これを500°C1時間加熱処理した試料を出発原料とした. 珪藻土のSiO_2成分とAl_2O_3成分のみに着目し, カオリン鉱物の理論組成として不足しているAl_2O_3成分をAgCl_3・6H_2O(試薬一級)で添加した. 固形分を1.4gとし, 蒸留水を7cc加えた後, テフロン製反応器に封入し, 170°C, 200°C, 230°Cで水熱処理を行った. 反応時間は, 3〜180時間とし, 反応後, 急冷し室温で開封した. 固形分を洗浄した後, 乾燥した試料のXRD及びDTA, TGを測定し, 合成された粘土鉱物及びその生成量を見積った. 上記実験條件で, DTAで見積った生成量は約50%, X線回折法による見積りでは約70%であった. カオリンの生成に関する速度論的考察から珪藻土中のSiが液相に溶解した後にカオリンの生成が始まることがわかった. 従って本実験で行ったような反応処理では, できるだけ固形分が溶解しやすくような條件を見い出すことが必要である. 昭和63年度は今年度の結果を踏えて3-八面体粘土鉱物の水熱合成を試みると同時に, 3-八面体粘土鉱物の変質機構の速度論的検討を行う予定である.
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