研究概要 |
クック・オーストラル諸島は南太平洋に直線状配列をして分布し, 活動的マクドナルド海山下にあるホットスポットを太平洋プレートが通過して形成したと考えられている. このうちアイッタキ, ラロトンが, アティウ, マウケ, マンガイア, リマタラ, ルルツの約50試料について検鏡し, 全岩化学組成を決定した(牛村・青木). 岩石種は多様で, アルカリ玄武岩, マンカラマイト, ベーサナイト, テフライト, ネフェリナイトとすべてアルカリ質ないし強アルカリ質である. ノルムNeを最大27%まで含有し, ノルムLcを最大8%まで含有する. これら試料のうち27試料についてはSc, Nd, Pb同位体組成が決定された(Nakamura and Tatsumoto, 1988). マンガイア, ルルツ, リマタラの岩石は非常にPbラジオジェニックで, 特にマンガイアの岩石は従来報告された海洋島火山岩では最もラジオジェニックで, 206Pb/204Pb=21.7に達っする. しかしこれらの^<143>Na/^<144>Naは0.5129とやや低くく, ^<87>Sn/^<86>Syは0.7030と高い. こうした特徴をもつクック・オーストラル諸島の岩石を生成し得るマグマの起源としてのマントルは従来考えられてきた様なエンリッチマントルとギィプリートマントルとの二元的混合モデルや, 海洋性リソスフェアの単純なリサイクルモデルで説明し得ない. この様な特異マントルはその同位体組成上の制約から少なくともそのエンドメンバーの1つは地球創生期的(約35億年以前)に形成されていねばならない. またその広い同位体及び化学組成の幅と非常に狭い地域分布(約800Km程度)を考慮すると, その形成モデルはかなり制約されたものとなる. そこで以上の諸条件を説明し得るマントル内でのマルチコンポネント混合モデルを提出し, さらにそれぞれのエンドコンポーネントの形成メカニズを考案した. 少なくともその1つのエンドコンポーネントは地球創生期にマントルメタゾマティズムを受けていたことが必要とされる.
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