研究概要 |
昭和62年度には, 高圧装置に組み込んで使用する超硬合金アンビル(焼結ダイヤモンドを埋め込む)を設訂し, 東芝タンガロイ(株)に製作を依頼し納入された. このアンビルを用いて圧力発生実験が行われ, 20GPa程度の圧力が安定に発生できることを確認した. また圧力と同時に高温を発生させる実験も終了した. 現在この装置を用いてMg_2Sio_4-Fe_2Sio_4系高圧相(スピネル型, 変形スピネル型)の合成実験が行われている. この試料は63年度に溶解熱測定やX線構造解析のために用いられる. また今年度には東京大学物〓研究所との共同研究として行われてきたMg_4Si_4O_<12>-Mg_3Al_2Si_3O_<12>系ザクロ石固溶体の高圧合成を終了し, その溶解熱を測定した. このデータを用い理想溶液モデルに基づいてこの系の転移(輝石→ザクロ石→変形スピネル+スティショバイト→スピネル+スティショバイト)の相平衡図を熱力学的計算によって作製した. この結果1000°Cでは圧力と共に輝石がザクロ石相に約10〜16GPaで急速に固溶し, この圧力を越えると固溶量が減少し徐々にスピネル(または変形スピネル)+スティショバイトに分解することが明らかになった. 1000°Cにおける輝石の最大固溶量は約80mol%である. この計算結果は地球のマントルにおいて, 約470kmまでは深さと共に輝石がザクロ石に固溶してゆき, その深さから約570kmまではザクロ石一相の固溶体が安定に存在すること, またそれ以深では徐々にスピネル(変形スピネル)+スティショバイトに分解してゆくことを示している.
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