研究概要 |
1.はじめに 文献に報告されている希土類リン酸塩鉱物群には(1)モナズ石(単斜晶系RPO_4, R=La〜Gd), (2)ゼノタイム(正方晶系RPO_4, R=Tb〜Lu), (3)ラブドフェン(六方晶系RPO_4・0.5〜1H_2O, R=La〜Gd), (4)ワインシェンカイト(単斜晶系RPO_4・2H_2O, R=Tb〜Lu), (5)チャーチアイト(単斜晶系CePO_4・2H_2O), (6)フローレンス石(六方晶系CeAl_3(PO_4)_2・(OH)_6)の, 6種類がある. 本年度は(1)〜(4)について検討した. 2.生成条件 補助金によるオートクレーブを用いて湿式合成を行なった結果, 溶液のpHが1〜3の時に, R=La〜Dyでは(3)が, R=Ho〜Luでは(4)が生成した. (3)(4)を母液中で長時間水熱処理すると, 徐々に(1)(2)になった. 乾式合成法ならびに溶融合成法ではR=La〜Gdのときに(1)がR=Tb〜Luのときに(2)が生成した. (4)を乾式磨砕すると, R=YやErのときに, 徐々に(3)となり, これは新化合物である. (1)(2)は耐熱性であると思われたので, 融点を測定した結果, 2000°C前後であった. ここで, (4)を湿式で長時間磨砕しても(3)にはならなかった. 水の存在が(3)(4)には必要であると思われた. 3.相互関係 R=La〜Gdまでの(3)を空気中で加熱すると, 沸石水を放出し, その無水を保つが高温では(1)になる. また, (1)→(3)への変化は無い. R=Ho〜Luまでの(4)を空気中で加熱すると, 脱水分解し, (2)に変わる. この脱水分解は100°Cでも長時間加熱すると徐々に(2)に変わる. また, (2)→(4)への変化は無い. 希土類試薬が高価なこともあって, R=TbやDyの(3)についての加熱変化は報告されていない. また, 2の実験で得たR=ErやYからなる新種の(3)についても加熱変化は報告されていない. そこでR=Tb, Dy, Er, Yからなる(3)の加熱変化を調べたところ, 通常の(3)のように沸石水を放出し, その後, 無水の六方晶系であったが, 徐々に(1)になり, 最後には(2)となった. 従来(1)→(2)の変化は報告されていない. 次年度には(5)(6)を検討し, 全体をまとめる.
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