研究概要 |
Mg_2SiO_4ーFe_2SiO_4系のオリビンー変形スピネルースピネル転移の決定版が1200℃, 1600℃において作成された. 実験結果は400km不連続の原因をオリビンー変形スピネル転移に帰する従来の考えを補強しているが, 新知見として, オリビンと変形スピネルの共存域の圧力幅は温度とともに減少することが明らかにされた. さらに, 20ー26GPa, 1100℃および1600℃においてポストスピネル転移の状態図が作成された. Fe/(Fe+Mg)<0.2の組成域ではスピネル相は極めて小さな圧力幅でペロフスカイト相とマグネシオブスタイトに分解することが明らかになり, 670km不連続の"鋭さ"はこの分解反応の特性に起因すると考えられる. キンバライト中のペリドタイト捕獲岩(PHN1611)の融解実験を下部マントル条件下まで拡張した. このペリドタイトは25GPa, 約2500℃で部分融解し, リキダス相はMgSiO_3に富むペロフスカイトであることが明らかになった. 固相のMg,Ca,Al,Siの相対存在度を上部マントル, 各種隕石と比較して, マントル始源物質の推定と, 可能な下部マントルのペロフスカイトの分別の度合を検討した.
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