研究概要 |
Mg_2SiO_4ーFe_2SiO_4系のオリビン(α)ー変形スピネル(β)ースピネル(γ)転移の相図が確されるとともに、γ相の分解反応が26GPa、1600℃までの条件下で全組成域にわたって明らかにされた。CaSiO_3ーMgSiO_3ーAl_2O_3系におけるメジャーライトの分解が明らかにされた。これらの相転移はマントル由来のペリドタイト捕獲岩においても対応して生ずることが確認され、下部マントルに到るまでの鉱物学的構成が明らかにされた。670km不連続はγ相とメジャーライトの分解に起因しており、前者はこの不連続を大変鋭いものにしている。作製された相平衡図を基にマントル遷移層(深さ380ー655km)における温度分布の推定がなされた。 キンバライト中のペリドタイト捕獲岩の融解実験が下部マントル条件下まで拡張され、25GPa、2500℃ではリキダス相がMgSiO_3に富むペロフスカイトであることが確認された。固・液相のMg,Ca,Al,Siの相対存在度を下部マントル、各種隕石のものと比較することによって、マントル始源物質の推定と下部マントルへのペロフスカイト相の分別の度合を検討した。その結果、分別は10ー15%とみなされ、地球形成初期の大規模融触による上部・下部マントルの化学的分別説を支持するものではない。 MgSiO_3ペロフスカイトの単結晶が育成され精密構造決定がなされた。また。圧縮曲線の決定と結晶構造に対する圧力効果が10GPa以上まで調べられた。構造はSiO_6八面体のフレームワークで特徴づけられ、圧縮による変形は第1義的には八面体相互の角度変化によるものであることが明らかになった。さらにブリルアン散乱法によって弾性定数の完全決定がなされた。
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