研究概要 |
クロライト/スメクタイト混合層鉱物がこれまでに産した場所に行き, 産状を詳細に調査するとともに試料を採取した. 採取した試料について, X線粉末回析により共生する鉱物を同定した. また, 混合層鉱物がどのような積層構造を有するかをTomita and Takahashi(1985)の図表を使って調べた. その結果, 鹿児島県薩摩半島南西部の安山岩の変質部から産する混合層鉱物は, 濁沸石や方解石と共生し, クロライト帯とスメクタイト帯の中間の地域に産することがわかった. Tomitaらの図表で構造を判定した結果, この地域に産する混合層鉱物はほとんどのものがクロライト層の存在確率が50〜65%で, スメクタイト層-スメクタイト層と継がる確率が0に近い規則型のものであることがわかった. 鹿児島県の人来から樋脇地域に分布するグリーン・タフ中にもクロライト/スメクタイト混合層鉱物が産するが, ここの試料は不規則型のものでカオリナイト, クロライトと共生する. ここの混合層鉱物もクロライトを主体とする内帯とスメクタイトを主体とする外帯の中間の位置に産する. 同じ鹿児島県姶良町堂山地域の変質した安山岩中にもクロライト/スメクタイト混合層鉱物も産する. ここでもクロライトを主体とするzoneとクロライト/スメクタイト混合層鉱物を主体とするzoneとスメクタイトを主体とするzoneの3つに大きく分帯され, 規則型と不規則型の2種類のものが産する. 鹿児島県横川町山ヶ野地域にも変質した安山岩中に規則型のクロライト/スメクタイト混合層鉱物をみいだした. ここのものは, クロライト層の存在確率が78%とかなりクロライト層が多いものである. 鹿児島県薩摩町の金山地域にも変質した安山岩中にクロライト/スメクタイト混合層鉱物をみいだした. ここのものは, ほとんど1:1に近い規則型のものであることがわかった.
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