研究概要 |
この研究の本年度の最大目標は, ダイヤモンドが合成可能なプラズマ状態の詳細を明らかにすることであった. これまでの研究は, 直流放電を用いたCVD法及び高周波(13056MH_z)放電を用いたCVD法により膜状, 粒子状のダイヤモンドを成長させていた. ここで新しくマイクロ波電源の入手が可能となったので, いくつかの実験方法に於けるプラズマ状態の比較という面において研究範囲が非常に拡大された. 高周波放電及びマイクロ波放電は反応槽内に電極を挿入する必要がないと言う特徴があり, これは生成物中への不純混入が避けられるため有利である. また, 後者では下地材料またはサセプターの誘電率を適当に選ぶことにより下地加熱も不要である. しかし, 比較的高い気体圧力(100〜200Torr)で成長を行うと, 放電が安定しないと言う欠点がある. 一方, 直流放電CVDは実験系は非常に簡単であるが, 電極からの不純物の飛来などに問題が残る. 放電の安定性に於いては全く問題がなく, 制御の面に関しても再現性が得られた. これらが基礎的な実験に関係して明らかになった事である. ダイヤモンドが成長している状態でのプラズマの評価をラングミュア単探針法及び発光分析法を用いて行った. 原料として用いたH_2及びCH_4は99%以上が原子状のHとCに分解していること, またその状態でのプラズマの気体温度は5000K程度であることも見いだされた. 原子状の炭素を十分に生成することがダイヤモンドの低圧合成に於いて必要であることが明らかに成った. 下地表面で水素原子とどのような反応をしているか, またエピタキシヤル成長の可能性については次年度に解決しなければならない問題である.
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