エオシン、エリトロシン、フルオレセイン等のキサンテン系色素及びメチルレッド、メチルオレンジ等のアゾ系色素を透明な高分子膜(ゼラチン、PMMA、PVA、酢酸ビニル)に一様に分散させた膜を位相共役鏡として使い、アルゴンイオンレーザ励起により位相共役波を発生させた。 1.ディプ法により厚い膜(>10μm)、スピンコート法により薄い膜(<10μm)を作成し、良質の膜を得た。しかし、100μm以上の膜厚をもつ試料の作成はこれらの方法ではむつかしいことがわかった。 2.色素膜による位相共役波の発生機構 (1)色素による飽和吸収に基づくポピュレーション格子、光電場による色素分子の配向による誘起異方性格子、光化学変化による屈折率や吸収係数変化型の格子の3種類の位相共役波発生機構があることが明らかになった。 (2)プローブ光を遮断した場合の位相共役波の時定数は、上記(1)の発生機構の順序で大きいことがわかった。 (3)色素と高分子マトリックスの組み合わせにより位相共役波の発生機構は異なる。キサンテン系色素膜では飽和吸収に基づくポピュレーション格子が、またアゾ系色素膜では光電場による分子配向に基づく誘起異方性格子が主に位相共役波の発生に寄与することが明らかになった。 3.キサンテン系色素膜では、ポンプ光強度【.appreq.】色素の飽和強度で位相共役波の発生効率は最大となり、また吸収係数・膜厚積=1〜2で位相共役波の発生効率が最大となる。エリトロシン含有PDA膜では位相共役波の発生効率は1%以上に達した。 4.アゾ系色素含有膜ではポンプ光プローブ光の偏光を直交させた時に位相共役波の発生効率が異常に高くなる。この解明は今後の課題である。
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