研究概要 |
1.多線式比例計数箱の製作とガスの選定 ギャップ13mmのアノード・カソード間にXY読出し電極を配した多線式比例計数箱(有感面積21×21cm^2)をアルミ製高圧容器に収納し, ^3HeとArを基本成分とするカウンター・ガスを約4気圧充填した. クエンチング・ガスとしてCO_2,CF_4などを混合し, ガス増巾度などのカウンター特性を調べた. その結果, ^3He50%-Ar47.5%-CO_22.5%の組成が最適であることが分った. 2.二次元位置読出し方式の検討 中性子信号の波高測定などより位置読出し方式としては, コインシデンス・レジスターを使用する直接エンコード方式を採用することに決定した. X,Yの位置情報は, 64×64pixelsとして得られる. 3.検出器ガスの純化精製の検討 ガラス繊維入りエポキシ樹脂にワイヤリングするため, 酸素や水蒸気などの電気的陰性の不純物ガスによるカウンター特性の劣化がある. これら不純物を除去する手法を検討した. アルミナ, Ti系触媒なども検討したが, Ca金属ショットを400〜450°Cに常時加熱し, カウンターガスを対流循環させることにより, 多線式比例計数箱は長時間安定に動作することを確認した. 4.総合性能試験 ^<252>Cfの中性子源を使用して中性子2次元位置検出器としての総合性能試験を行った. 得られた中性子信号の波高スペクトルは, ガンマ線などによるバッククラウンドとの分離も十分で, 効率よく安定に動作することが判明した. この研究成果を基にして, 中性子小角散乱実験に必要な大型の2次元位置検出器を製作する.
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