研究概要 |
本年度は内部鏡型単一モード633nmHeNeゼーマンレーザの偏光特性を実験的に調べ, 下記のような偏光の異方性を明らかにし, 理論的検討も加えた. 1.内部鏡型単一モードレーザの零磁界における偏光の離調特性は隣接モードの発振の影響を受ける. しかし共振器損失の異方性により隣接モードの偏光が直交するものと平行になるものが存在する. 2.内部鏡型単一モード軸ゼーマンレーザの偏光の離調特性の磁界強度依存性を測定した結果, 零磁界と同様に隣接モードが互いに直交偏光を保持するものと平行の偏光を保持するものが存在することが判明した. さらに数十ガウスの磁界強度において偏光度が小さくなり左右の円偏光モードの発生にともなうゼーマンビートが生じ, この磁界強度のしまい値が共振器損失の異方性に依存して, 160ガウス以上なるレーザも存在することを示した. 3.内部鏡型単一モード横がガーマンレーザの偏光の離調特性の磁界強度依存性を測定した結果, 零磁界時に示す直線偏光の方向の自然軸と印加磁界軸のはさむ角度θに依存して大きく異なり, θ=0.90゜の場合20ガウスにおいて一つの自然軸方向に隣接モードの偏光がそろい, 約40ガウスで直交したαモードとπモードの同時発振にともなう直線偏光とゼーマンビートが生じることが判明した. またこのゼーマンビート発生の磁界強度しまい値は共振器損失の異方性に依存することを示した. さらにθ=45゜を中心としたある角度領域△θでは20ガウス以下で隣接モードは一つの自然軸方向にそろった直線偏光を保持することを明らかにした. 4.1〜3で示したゼーマンレーザの偏光特性を明らかにするために, 直交した偏光を考慮した4モードレーザの発振出力を理論解析し, さらに実験に対するミシュレーションを行なった結果, 偏光の異方性に共振損失の異方性が関与していることを示した.
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