研究概要 |
1)溶媒としてSeOCl_2あるいはPOCl_2等を用いたときの発光スペクトル幅, 発光の寿命等は, Nd-YAGと比較し大体同じであるが, 光吸収断面積が1/5程度なので, 発振のしきい値が数倍は高いと考えられる. このような条件下で連続発振を可能にするには, アークランプ2本を内蔵し, 励起光を有効に用いるようなランプハウスの形状を決定する. また溶液の温度上昇を極力少なくするための高速循環と, レーザー光によりセル端面での溶液の焼きつきを防ぐために, 溶液がシート状に流れるようなセル構造を採用し, セル両面から励起を行なう. このような観点にたって設計を行ない, 製作を完了した. 装置全体の組立ては大体完了しており, 今後発振テストを行なう. なお製作したランプハウスは小変更により, Na-YAGロッドも使用できるようになっているので, 同一条件下で両者の利害得失の比較検討を行なう. 2)CWモード同期Nd-YAGレーザーの出力パルス幅は100ps程度あり, 通常第2高調波発生自己相関法により測定する. しかしこの測定にはかなりの時間を必要とし, ひいてはレーザー発振の最適化をより困難にしている. そこで測定, オッシロスコープでの表示をリアルタイムで行なえる自己相関計を開発した. cwモード同期Nd-YAGレーザーを用いてテストした結果, その性能を充分に発揮することを確認した. 3)モード同期色素レーザーからの時間幅約120fsのパルスを励起光として用い, GaAs中に励起されたキャリアーの超高速緩和現象の測定を行った. 測定には発光相関法と名付けた方法を用いた. 励起キャリアーがバンドの状態密度を占有することにより引き起される, 吸収飽和に起因する信号を検出できた. 光励起直後のキャリアーの運動量あるいはエネルギー緩和時間は, 励起に用いたパルス光の時間幅(約120fs)に制限を受け, 明確な値は得られていない.
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