本年度は、昨年度に設計製作した模型実験機を用いて風洞実験を実施し、空力微係数の推定と制御系設計を行った。同定手法としては拡大最小二乗法を採用し、雑音の白色化フィルタ係数も同時に推定することにより、バイアスのない良好な推定結果が得られた。この実験手法と同定計算アルゴリズムの開発により、航空機の入出データから空力微係数の推定値を得る一連の方式が確立された。 一方、制御系に関しては最適1型サーボ系の設計法を検討し、ディジタル演算処理に伴う時間遅れを考慮した高度制御系の設計を行った。本制御系は、ステップ状の指令入力に対し定常偏差のない追従特性を有し、さらに低サンプリングレイトでも性能が悪化しないため、機上計算機の負担を軽減することができる。また通常のサーボ系では、高度変更の指令値が入力された直後に大きな操舵角を取り、それに伴い急激な加速度や姿勢角変動が誘起されるため、航空機の制御には適していない。この欠点を回避するため、本研究ではコマンドモデルを使い、目標高度に滑らかに移行できる制御則を考案している。しかし、この制御系の飛行実験には小型軽量の高度計が必要であり、今後の課題として残されている。 これらの研究成果については、一部をすでに学会で発表しており、最終結果についても将来発表を予定している。また、今後の研究課題として突風中での機体応答や乗り心地改善の研究が重要である。そのため通常の風洞内で突風を発生させる簡易装置を考案し、発生した突風のパワースペクトルの検討から低次元の数式モデルを導出した。この研究成果についても済に発表を行った。
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