本研究で得られた成果概要は以下の(1)〜(3)のようにまとめられる。 (1)制御法則の設計理論 制御方式は最適1型サーボ系の設計法を検討し、ディジタル演算処理に伴う時間遅れを考慮した高度制御系の設計を行った。本制御系はステップ状の指令入力に対し定常偏差のない追従特性を有し、さらに低サンプリングレイトでも性能が悪化しないため、機上計算機の負担を軽減することができる。またコマンドモデルを使い、目標高度に滑らかに移行できる制御則を提案している。一方、最適レギュレータの設計には、設計仕様やロバスト要求を特異値線図に反映させることを提案し、制御則を得るための計算アルゴリズムを導出した。さらに評価関数の重み係数と交差周波数の間の解析的関係を検討し、飛行制御系の各ループのバンド幅を陽に指定することが可能となった。 (2)動的風洞実験法 動的風洞実験法の確立のため、供試模型飛行機と支持装置を設計製作した。供試模型は市販のラジコン飛行機を改造し、加速度計、角速度計、姿勢角センサ、及び舵面変位センサを塔載した。模型支持のため、風洞の沿直面内に支柱に沿った上下併進運動とピッチ軸回りの回転の2自由度運動が可能となる支持装置を考案した。また風洞内で突風を発生させる簡易装置を製作し、発生した突風の数式モデルを導出した。 (3)空力微係数の推定 航空機の短周期運動パラメータの同定実験を行った。同定手法として拡大最小二乗法を採用し、雑音の白色化フィルタ係数も同時に推定することにより、バイアスのない良好な推定結果が得られた。上記実験手法と同定計算アルゴリズムの開発により、航空機の入出力データから空力微係数の推定値を得る一連の方式を確立した。
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