研究概要 |
制御用マイクロ・コンピューター式と, 制御実験に非常に有効なハード・ディスクを購入した. トルク・アクチュエータとして, DCトルクモータを使用することとし, DCサーボアンプを購入して制御実験の基礎的な部分が行なうことが可能となった. 制御用マイクロコンピュータの活用によって, 後述のスルー・マターバに用いる制御用プログラムを開発した. この制御用プログラムは, 高速性を必要とする部分はアセンブラーで, 厳密な計算を行なう部分はフォートランで, そしてグラフィック性を必要とする部分はベイシック各言語で書かれている. この結果, 従来200msを必要とした制御時間遅れが一躍50ms程度に短縮出来ることになった. この制御用アルゴリズムには, 藤井・石島が新しく考察した「使命達成関数制御」則の有効性を実験的に検証しようとするものである. 大型柔軟宇宙構造物のモデルとしては, 0.5mm×1150mm×10mmのアルミ板を用いた. このモデルを, 零重力模擬地上実験装置上に設定して基礎データを求めた. なおこの地上実験装置は昭和59年度科学研究費補助金試験研究2(58850018)によって試作したものである. このような基礎データによって, 以下のような基礎特性の確認を行なった. すなわち, (1)大型宇宙構造物のような多変動制御系では不可避の制御時間遅れを極力小さくするような制御プログラムを作成した. (2)空気によるモデルの運動における影響は第一次近似として移動速度に逆比例するものとみなせる. (3)柔軟構造物の運動エネルギーと歪弾性エネルギーは片持ちばりの根元の曲げモーメントとせん断力とで推定出来ることは上述の使命達成関数制御によって理論的に求まっていたが, せん断力を実際に歪みゲージを用いて測定する方法を求めた. 以上の実験の基礎データによる知見, 新たに得られた理論的洞察は11.研究発表の項に示したように発表する予定である.
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