研究概要 |
混合モード負荷における腐食疲労き裂の進展挙動に及ぼすカソード電圧印加の影響に関して, 昭和62年度に実施した研究の進展状況は以下の通りである. 1.これまでの静的モードI負荷を重畳した四点せん断負荷装置を改良しモードIとIIの混合モード負荷試験装置を開発した. その装置に3.5%食塩水循環装置ならびに購入したポテンショスタット/ガルバノスッタト, 関数発生器およびデジタルpHメータを組合せた装置を考案作製した. 2.1.の装置を現有の電気油圧サーボ式疲労試験機にセットし, 高力アルミニウム合金7075-T6材について, 3.5%食塩水中でカソード防食側, アノード側に電位を変化させた場合のモードI腐食疲労き裂進展挙動を調べた. 自然腐食および空中の場合と比較し, 検討を加えた結果, カソード防食側, アノード側に電位を変化させても, ほぼ一致したda/dN-△K線図が得られ, 破面形態にもほとんど差が認められなかった. 3.き裂を圧延方向, 圧延方向と直交する方向に進展させた場合の電位の影響についても調べた. その結果をda/dN-△K線図で整理すると, 圧延方向にき裂を進展させた場合と圧延方向と直交する方向にき裂を進展させた場合とで電位の影響の仕方に差があることが明らかになった. すなわち, 圧延方向にき裂を進展させた場合は, 電位をかけると自然腐食よりむしろ加速する傾向が見られた. 一方, 圧延方向と直交する方向にき裂を進展させた場合は, 電位をかけると低△K側で自然腐食より減速し, 圧延面内異方性が存在することを見い出した. 4.2., 3.の結果をまとめて, 材料学会で講演発表することにした. 引続き, 高力アルミニウム合金のモードII腐食疲労き裂進展挙動に及ぼす電位の影響, モードIとモードIIの混合負荷条件における腐食疲労き裂進展挙動に及ぼす電位の影響を明らかにする. その後, SM50鋼材について同様の研究を予定している.
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