| 研究課題/領域番号 |
62550057
|
|---|
| 研究種目 |
一般研究(C)
|
| 配分区分 | 補助金 |
|---|
| 研究分野 |
機械材料工学
|
|---|
| 研究機関 | 大阪大学 |
|---|
研究代表者 |
片桐 一宗 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90029893)
|
|---|
| 研究分担者 |
西浦 徹也 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (50112066)
辻 昌宏 大阪大学, 工学部, 助手 (10132630)
岡田 東一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40028999)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
| キーワード | オーステナイトステンレス鋼 / 疲労破壊 / 極低温 / き裂進展速度 / 応力誘起マルテンサイト変態 / き裂開口比 / 有効応力拡大係数幅 |
|---|
| 研究概要 |
安定オーステナイト組織を有する改良200系18Mn鋼およびSUS310鋼と準安定なSUS304L鋼の極低温における低進展速度域の疲労亀裂について亀裂近傍の微視組織の観察および亀裂開閉口の測定を行い、それらと亀裂進展特性との関係を調べた。α'マルテンサイト変態の役割を明確にするため両材料の結果を比較した。得られた結果を以下に挙げる。1.4.2Kで疲労させた18Mn鋼CT試験片の亀裂周辺塑性域(20ー50μm)には、剪断帯で区切られた先端部を除いて微細な帯がエッチングによって現れ、一方304L鋼では先端部も含むこの帯領域の内部に強度にエッチされる領域がみられた。また破断面上には平行な縞模様や突起の列の見られるプラトーから成る粒内破面が観察された。2.このような亀裂近傍の組織として前者には積層欠陥の集合体およびεマルテンサイトが電子顕微鏡によって観察されたが、α'は認められなかった。亀裂先端部には絡み合った転位組織のみが見られた。一方後者では亀裂の極近傍ではεがさらにα'に変態しており亀裂がこの変態相内を進展することを示した。3.CT試験片を用いた除荷弾性コンプライアンス法による亀裂閉口点の測定から310鋼では室温及び77Kいずれの場合にも低進展速度域で同程度の閉口がみられたのに反し、304L鋼の場合は室温ではこれらと同程度であるが、77Kでは閉口の程度が小さいことが明らかになった。これは低温で著しい準安定鋼の歪誘起マルテンサイト変態に伴う亀裂周辺部の体積増加から予想される亀裂閉口の促進という米国LBLグループの主張とは逆の結果である。低温におけるこの種の材料の疲労亀裂進展速度の減少には亀裂閉口は逆の寄与をしており、上記の組織変化と共に隆伏点の上昇や繰り返し加工硬化の増加などによる強化の寄与の方がより大きいことが判明した。析出硬化アルミニウム合金の極低温における亀裂進展特性と亀裂開閉口及び組織変化については引続き研究を進めている。
|
