ファインセラミックスは高温強度および耐摩耗特性の面で優れた特性を有すものの、一方、破壊靭性の点で問題を有しており、ファインセラミックスに係わる工学的問題は、実働条件を目標に設定しながら強度特性をより広範囲に、より正確に検出し、強度特性値の相関性評価、全体像の把握を行うこと、およびセラミックスの長所を活用し短所を閉じ込めるような効果的使用のための設計手法の確立である。 本研究はこれら両側面へのアプローチを試みようとするものであり、室温から1200℃までの高温下における衝撃3点曲げ試験を遂行するとともに、その応用側面として金属基材に接合されたセラミックス構造体の表面を打撃し、表面損傷およびセラミックス/金属基材接合面の破壊構造を調べ、最適接合条件を確立することを目的としている。 昭和62年度および63年度の2年間にわたる研究の結果、次のようなことが明らかにされた。先ず、常圧焼結窒化ケイ素および反応焼結炭化ケイ素を用いて行われた室温から高温での静的および衝撃3点曲げ試験の結果、(1)常圧焼結属化ケイ素は、いずれの実験温度レベルにおいても衝撃曲げ強度は静的曲げ強度を上回り、また、静的曲げ強度および衝撃曲げ強度の強度のばらつきに差異はなく、優れた高温衝撃強度特性を有すること、および(2)反応焼結炭化ケイ素の高温衝撃曲げ強度は平均的にみれば室温下での静的曲げ強度を上回るが、高温下では設計上重要な破壊確率の低いレベルで室温静的曲げ強度を下回る低強度を示すことが観察された。次いで種々の接合法および緩衝剤を有する窒化ケイ素/S45C接合体およびアルミナS45C献合体を用いて行われた繰り返し表面打撃試験の結果、破壊形態の詳細な部分は異なるものの、打撃点直下での圧痕、ミクロクラックの発生から外周部へき裂が伝ぱしい破壊に至る様子が観察された。
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