研究課題/領域番号 |
62550073
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
城野 政弘 大阪大学, 工学部, 教授 (20029094)
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研究分担者 |
菅田 淳 大阪大学, 工学部, 助手 (60162913)
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キーワード | 疲労き裂 / 実働荷重 / 走査型電子顕微鏡 / 直接連続観察 / き裂進展機構 / き裂開閉口挙動動 / き裂先端開口変位 / 画像処理 |
研究概要 |
昨年度購入、付設したDMA型高速A/D変換器による走査型電子顕微鏡画像のマイクロコンピュータへの取込みとその画像処理ソフトウェアの開発を進めた。すなわち、コンピュータ制御により荷重と同期した画像取込みを可能とするとともに、取込まれた画像に対し、ノイズ除去、微分、細線化の画像処理により、き裂縁およびき裂周辺部の変形計測のための酸化マグネシウム標点画像を求めた。また変換速度を適宜選択することにより、繰返し速度0.1〜1Hzの動的繰返し荷重下の連続した5画面分の直接観察画像の記録を可能とし、これを用いて2段繰返し荷重下の疲労き裂進展挙動を観察し、変動荷重下のき裂進展機構の検討を行った。標点の移動から計測された荷重負荷によるき裂の開口およびき裂先端部の変形状態からき裂進展機構が、き裂先端における交互すべり面分離によることが確認された。また定常な繰返し変動荷重下では、低レベル荷重に対するき裂先端開口変位CTODは、高レベル荷重のK値の高い場合を除いては、高レベル荷重の負荷前後で変化せず、またき裂進展方向なども一定振幅荷重下のそれと大差ないことが確認された。前年度および以上に述べた微視的なき裂進展挙動の動的直接観察を基礎として、これまでに別途行ってきた実働荷重下の疲労き裂進展試験結果を考察し、微視的なき裂進展機構と巨視的破壊力学パラメータとの関係について検討した。特に弾塑性領域における過酷な条件下での変動荷重についてはき裂進展試験を実施し検討した。その結果小規模降伏条件下ではき裂閉口を考慮した有効応力拡大係数範囲△K_<off>が主要なき裂進展の支配パラメータとして妥当であることを再確認し、弾塑性領域においては繰返しJ積分範囲ΔJが良いパラメータとなることを明らかにした。しかしながら繰返しにより顕著な一方向変形を伴う場合にはJ積分値の評価にレンジペア的なカウント法を採用する必要のあることを見出した。
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