研究概要 |
本研究では, まずアラルダイトBと硬化剤HT901を重合したこエポキシ樹脂板を製作し, 広い温度範囲にわたって単軸引張クリープ試験を行い, エポキシ樹脂の光学的・力学的クリープ特性を調べた. また, 種々の温度における応力と縞次数, 応力とひずみの間の線形性について検討した. 次に, 凍結熱処理過程および凍結除荷後における光弾性縞挙動と力学的挙動を調べるため, 種々の凍結実験を行い, 凍結熱処理条件について検討した. なお, 高温用ひずみゲージを利用したばね鋼製U字はり式伸び計を開発し, この伸び計のひずみ測定にはデータロギングシステムを用いた. その結果, アラルダイトと硬化剤の配合比が100:30のエポキシ樹脂の転移領域は100:15の材料より約30°C高いこと, 転移領域下限より20〜30°C低い温度での両教材の適性係数はほぼ同程度であり, ガラス状領域では光学的・力学的クリープは飽和状態に達するのに長時間を要すること, 一方, 転移領域では光学的・力学的クリープは比較的短時間で飽和状態に達することが明らかとなった. また, 応力とひずみの関係から得られる比例限度は, 応力と縞次数の関係から得られるものよりやや低いことがわかった. さらに, 配合比100:30のエポキシ樹脂の凍結実験の結果から, 凍結温度を転移領域下限以上にとった場合, 縞次数と変形は, 凍結温度が高く冷却測度が遅いほど大きく変化するが, クリープ回復は無視できることがわかった. 凍結温度が転移領域下限より20〜30°C低い場合には, 縞次数, 変形は除荷によってのみ大きく減少し, 除荷後のクリープ回復は数時間でほぼ安定することが判明した. 次年度においては, 配合比が100:30とは異なるエポキシ樹脂の凍結熱処理過程における光弾性縞挙動や力学的挙動について明らかにし, さらに凍結温度を異にする凍結熱処理法を三次元物体に適用し, 種々の応力凍結熱処理法について検討する.
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