研究概要 |
2(1/4)G-1Mo鋼の600°C, SUS304鋼の650°Cにおけるクリープ・ラチェッティング実験を行い, 以下の知見を得た. (1)ひずみ速度10^<-3>〜10^<-6>/Sの引張り試験, 種々の応力レベルにおけるクリープ試験を行い, 各材料の高温下における基礎的変形挙動を調べた. とりわけCr-Mo鋼では引張り流動応力に対する強い速度依存性が認められた. (2)Cr-Mo鋼の単軸応力のクリープ・ラチェッティング実験を最大応力, 応力比および応力速度を種々に変えて行った. また, 各サイクルごとに最大応力を10S保持する実験を行った. 最大応力が大きいほど, また応力速度が遅いほど1サイクルあたりのひずみ進行量は大きくなるが, 応力比(-0.8〜0)がひずみ進行量におよぼす影響は二次的であった. 最大応力は10S保持する試験ではひずみの進行はほとんどその応力保持中に生じた. (3)上記(2)の試験と同じ条件のクリープ・ラチェッティングの数値シミュレーションを塑性・クリープ単純重ね合せ型構成式(以下では単純重ね合せと呼ぶ), Krempl,Chaboche,Millerの各構成式モデルを使って行った. その結果, 単純重ね合せ型では塑性・クリープの相互作用が表現できないためある条件下ではひずみの進行速度を過小評価することがわかった. また, 全ひずみを硬化の尺度するKremplのモデルもひずみ進行を過小評価している. Chaboche, Millerのモデルによるシミュレーション結果は, 実験結果と比較的良く一致した. (4)多軸応力下のクリープ・ラチェッティング試験を両材料を用いて行った. 繰返し応力に重畳する応力成分が大きいほど, また繰返しひずみ速度が遅いほどひずみの累積量が大きくなることがわかった.
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