FMSの動的なダイナミックな状態を把握し制御することを目的にそのモデルをいかに構築するかに関して種々の研究を行いしかるべき成果を得た。なお、研究を進めていく過程で当初の研究計画設定段階では予測もつかなかったような問題やそれらの問題解決へのアプロ-チを通じて各種の新しい理論や知見が得られた。本研究で得られた成果を以下に箇条書きに記述する。すなわち、(1);FMSと一口に言っても種々の形態が存在していること、(2);したがってFMSを理論的に議論するためには一般的FMS、すなわち形式論的FMSを、またその説明機能のためには設計過程とのアナロジ-をとることが有用であること、(3);3次元実体物としての素材が設計された製品形状へと変形していくプロセスをモデリングするためには3Dモデル記述が適しているがそのためには形状モデルのユニフィケ-ションが必要となること、(4);FMSが真に柔軟性をもつためにはFMSのどのレベルにおいても常に動的な状態空間を保持していること、(5);動的な状態空間を保持しているFMSを記述するには拡張型のペトリネットおよびそのさらなる拡張型としてのコネクショニストモデルが必要であること、(6);拡張型のペトリネットのための新しい理論開発向けに各種の定義と定理およびそれらの利用形態としての各種アルゴリズムを開発したこと、(7);拡張型としてのコネクショニストモデルとして多層化コネクショニストモデルを開発した、(8);また刻々状況に応じて変化するであろうFMSにおけるスケジュ-リングをもモデリングする目的で新しく動的ネットワ-クの概念を導入したHopfield型ニュ-ラルネットワ-クの理論開発を行ったこと、(9);さらに生命体と生産システムとの関連性確立へのアプロ-チを試みていること、などである。これらはIMS(Intelligent Manufacturing Systom)開発の理論的武器を提供するものとなろう。
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