研究概要 |
工作物の回転中心軸の振れをなくし, 振動切削理論によるパルス切削力波形によって振動切削し, 中ぐりのために細長くなる中ぐりバイトを剛性化し, 同時に振動切削効果を発揮させて, 一様な表面粗さ形状の凹凸面としたあと, スティック砥石を工作物軸方向に超音波振動させ, 同時に低周波振動させて, その表面粗さ内で定荷重方式によって切削仕上し, 続いて砥粒の切れ味をよくする超音波振動を停止して低周波振動のみとして鏡面加工することによって, 正面粗さ【approximately equal】, 真円度【approximately equal】の超精密穴加工ができるようになることを解析して創案した. この解析結果を実験用振動切削旋盤を創作して確かめた. すなわち, 空気軸受による旋盤主軸に外径40mm, 内径13mm, 長さ60mmの工作物を取付け, 空気静圧による非接触型往復台上に超音波ねじり振動系中ぐりバイトによる振動切削装置を取付け, 超硬材K10を用いて, 中ぐりバイト刃先形状を横切刃角30°, 前切刃角10°, すくい角0°とし, 振動数f;28KHz, 振幅a;15μm, 送りS;0.01mm/rese, 切込み20μm以内で回転数n;500rpmとして, 切削速度υを隅部臨界振動切削速度2Πafよりも低くくして, パルス切削力波形を与えて内径13mmの穴面を精密振動中ぐりし, そのあと, 振動切削して規則的な表面粗さ形状となっている仕上面を約2μm以下の表面粗さに最大取代として, PVAあるいはWA砥石を工作物の軸方向に超音波振動数f;30KHz, 振動a;6μm, 低周波振動数F;25Hz, 振幅A;0.17mmで重畳振動させ, その砥粒径で加工し得る表面粗さにまで迅速に切削加工し, そこで超音波振動を止めて低周波振動のみの従来の超仕上方法によって重畳超仕上して, アルミニウム合金, 銅合金, 鉄合金として炭素鋼, ステンレス鋼, 焼入鋼HRC=39.52材に対して, 表面粗さ0.1〜0.4μmRmax, 真円度0.1〜0.2μm, 円筒度60mmあたりほとんど0μmという高い加工精度で超精密加工できることを確かめた.
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