本年度実施計画に基づき研究を遂行した結果、以下の成果および知見が得られた。 1.石英ガラスのプリズムをコアとしてメタルモールドに組み込んだガラスインサート金型と高速ビデオカメラによる画像計測システムと画像処理システムを連結し、計測から解析に至る一貫システムにまとめ上げた。 2.ウェルドライン深さとフローフロント会合角の関係を調査し、射出率・樹脂温度に関わらずウェルドが、会合角140〜147°以上になると消失する過程を明らかにした。これは会合角制御によりウェルド予測と低減に効果があることを示唆するものである。 3.前年度はショートショット法の精度を検証し、一部の結晶性樹脂では射出終了後にフローフロントが型内で前進するのに対し、非晶性樹脂では全く変位しない現象を見い出した。本年度は、この現象についてさらに調査し、フローフロントの前進の原因が、冷却過程で板表層部近くのスキン層とコア部との冷却時間の差異のために、表層(スキン層)が凸状に反る力が発生し、コア部とフローフロント部の溶融樹脂を前に押し出すためであることを確認した。 4.2重プリズム機構により2方向から同時観察のできるガラスインサート金型について、型強度、プリズム埋込み方法、可視領域の制限域、可視化対象等について多面的な検討を加え、当該目的を達する可視化金型の基本型構造を明らかにした。
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