研究概要 |
本研究は, 多品種少量変動生産に有効に対処し得る高度な機能を持った生産システムとしてのフレキシブル生産システム(FMS)を合理的に設計するための支援システムを開発しようとするものである. そのために, まず, FMSの基本設計におけるコンピュータ処理の可能性を追求すると共に, システム設計における知識の活用を検討した. その結果, 1.従来から開発されてきた数理的方法論やOR手法が有効に適用できる部分が多いことが明らかとなった. ここで有効な方法としては, 線形および非線形計画法, 整数解計画法, 分岐限界法, 数量化分析法, グラフ理論, パターンマッチング手法, 需要予測手法, 意思決定法などがある. 本研究では, これらの手法を適切に用いることにより論理的設計手順を確立し, それを実行するためのコンピュータ支援ツール群を開発している. さらに, この設計手順で必要となるデータベースの適切な構造について検討し, そのプロトタイプを作成すると共に, データベース管理システムについても検討した. これらについては, 既に一部研究発表を行い, その後の新しい知見についても引き続き発表を予定している. 2.FMSの基本設計において, 現段階では上述の論理的手順だけでは十分に対処しきれない部分やヒューリスティックな手法を用いる方が効果的な場合もあることが明確になった. とくに, 需要パターンの変化にともなう負荷変動, 必要機能の変動, 外注生産による機会損失などを考慮して, 種々の変動に対してロバスト性を持った生産システムを設計するために, 知識の活用が有効であり, 現在, そのための方法論と知識ベースの構造を検討中である. 本研究は来年度も継続して行われる予定であり, そのプログラムの中で, 本年度の成果に基づくコンピュータソフトウェアの開発, 知識ベースの試作, 設計支援ツールの統合が予定されており, 計画期間内に所期の目的を達成できるものと確信する.
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