かさ歯車の負荷特性に関しての研究は、ほとんどみられず、この種の歯車を使っての設計に非常に大きな支障をもたらしている。よって、この種の研究を進めることは、きわめて重要なことと考えられる。 本研究においては、かさ歯車として、まがり歯かさ歯車をとりあげた。このまがり歯かさ歯車の負荷特性、すなわち、スコーリング発生荷重、摩擦損失、歯の温度上昇についての研究を進めた。まづその目的を達成するための実験装置を製作し、これを用いて上記の実験を進めた。 本研究に用いたまがり歯かさ歯車(試験歯車)の主な諸元は、歯数(小歯車)Z_1=9、歯数(大歯車)Z_2=39、小歯車の直径(外径)d_<k1>=52.03mm、大歯車の直径(外径)d_<k2>=175.09mm、平均ねじれ角β_m=30°、圧力角α_n=20°、平均モジュールm_n=3.781、歯幅b=30mm、ピッチ円すい角(小歯車)Γ_<01>=13.3°、Γ_<02>=77.0°で、歯切はグリーソン方式である。浸炭焼入れを行ったものである。 この試験歯車(まがり歯かさ歯車)により得られた実験結果を、ハイポイドギヤにおける値と比較検討を行った。ここに用いたハイポイドギヤは、一般に乗用車において用いられているごく普通の型のものである。 まがり歯かさ歯車のスコーリング発生荷重は、ハイポイドギヤのスコーリング発生荷重に比してきわめて高い。ラッピング仕上げは、このスコーリング発生荷重にそれほど顕著な影響を及ぼさない。歯の温度上昇は摩擦損失率に直接関係がある。この間の関係については、平歯車においても以前の研究においてみいだした。まがり歯かさ歯車の負荷特性(摩擦損失)は、潤滑油の種類に依存している。特に顕著なことは、合成油を用いたときの摩擦損失率はきわめて低く、従って歯の温度上昇も低くあらわれている。この温度上昇と摩擦損失率との間の関係をもみいだした。
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