研究概要 |
球面スライダーのすべりにおける磁気ディスクの摩擦特性と損傷 鋼, サファイヤ及びフェライトの球面を低速でめっきディスクとスパッターディスクに種々の荷重ですべらせるときの摩擦及び接触の特性を調べ, この場合のディスクの摩擦損傷を観察した. 接触特性は, ディスク基板が軟質のAl板の上に硬い下地層を有することから, 通常の固体接触ときわめて異なる. すなわち, 接触面積Aと荷重Wの関係はAαW^mであるがm>1の接触が起り得るほか, m=1の場合において接触圧力PがWに依存しないときでも, 半径Rの小さい球面でPが大になる. これらの特性から摩擦係数〓は, Rが小さいときに減少するし, Wが大になったときに〓の凝着成分が増加するという特異な摩擦特性が現われる. 高接触圧力条件ではディスクの磁性膜のはく離的損傷が生ずるが, 特にフェライトでは生じやすい. 磁性膜の損傷はぜい性破壊的であって, 摩擦トラックの一部で起り, 損傷発生は摩擦増加を生ずる. 2.磁気ヘッドが低速で繰り返しすべるときの磁気ディスクの摩擦と損傷 フェライトヘッドをめっきディスクとスパッターディスクに9.5gfで低速で繰り返しすべらせるときの摩擦係数〓と損傷を調べた. 〓はすべり回数Nの増加によって増加するがトラックの一部において大きさが異なるようになる. 〓の増加は損傷によって凝着が強い接触状態になるためと, 塗布潤滑剤があるときの表面張力に起因するものがあるが, 後者による〓増加はきわめて著しい場合がある. 塗布潤滑剤は摩擦低下に有効でないが, 摩擦損傷の抑制に効果的である. 一方, ディスクのテキスチュヤは損傷を発生しやすくする. ディスクのヘッドによる摩擦損傷は一般にきわめてせまい幅の細長い形状で起るにすぎないが, 〓を著しく増加するものであることが注目される. このことは磁気ディスクの摩擦特性として重要である. なお, 損傷はカーボン保護膜のみで起る場合もあると考えられる.
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