研究概要 |
固体二面間の接触部における静圧潤滑問題と密封性とは表裏の関係にあるが, 接触面はある程度のあらさをもった面でも, うねりがなく, ほぼ全面に均等な接触が保たれる面は, みかけの真実接触面が細分化されるだけで, やはり耐密性と油膜形成比とが対比し得る問題である. 本研究はすべり対偶をつくる, 硬く滑らかな面(材質:S45C,H_<RC>=55)と研削程度の仕上面あらさをもつ面(材質:C1100)の組合わせにおいて, 接触面の中心部から圧力流体(タービン油 VG32)を送入し, 送入圧力と接線力比ならびに接触面の相対変位の関係を調べたものである. この目的は, さほど高度な表面あらさをもたない面(表面のうねり等は望ましくない)でも工作機械, その他各種機械のすべり案内面の起動がなめらかで, かつ作動時の摩擦抵抗を軽減したり, さらにはバルブ類や水門などの案内面が火急の際に確実な作動を保証するための基礎資料を得るためである. 本研究で得られた主要な結論を以下に要約する. 1.起動摩擦抵抗の軽減に対し, 普通程度の研削仕上面(Rrms:0.57μm)において, 圧力0.8MPaのタービン油VG32の送入で摩擦係数が0.23であったものを0.005まで容易に軽減できた. 2.仕上面にある程度のあらさをもつにもかかわらず, 起動時の接触面間の圧力分布状態は接触間の相当すきまを前提とした場合, 静圧段付スラスト軸受の理論と良い一致をみることができた. 3.面のあらさが大きいので, 摩擦抵抗を軽減するためには作動油の流量を大きくしなければならない. その際, 仕上面あらさの方向と流路の方向との関係, 相当すきまの決定方法などに未解決問題があり, 摩擦抵抗低減のための必要流量を正しく確定することは現段階では困難で, さらに研究を進める必要がある.
|