研究概要 |
鉛直に置いた2二次元るつぼから蒸発した分子の無限遠方における飛行方向をあらわす空間分布(蒸発源を点源とみなした時の分布)を, 直接シミュレーション・モンテカルロ法を用いて詳細に調べ, 空間分布におよぼすクヌーセン数および液面深さの影響を明らかにした. 分子の流れは, クヌーセン数が大きくなるにつれコリメートされ, 分子線束はるつぼの中心軸方向に集中してくる. 同様な現象は, 液面深さを増大した時にも見られた. また, るつぼとるつぼに垂直に置かれた基板との距離がるつぼの半径の20倍以上の時, 得られた空間分布を使って基板上に成形される薄膜の厚み分布を, かなり良い精度で予測できることを示した. 同様な計算を軸対称円筒型るつぼに対しても実施した. さらに, 得られた空間分布から, 基板の位置や向きをいろいろ変えた時の基板上の薄膜分布を, 希薄気体流シミュレーション用アニメーションシステムのカラーディスプレイ上に描かせるソフトウェアを開発した. 今後, 蒸発分子の空間分布を実験的に測定し, 直接シミュレーション・モンテカルロ法で求めた結果と比較することにより, 計算による薄膜分布の予測の正確さを実験的に実施することを計画している.
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