研究概要 |
強い非平衡空気プラズマ流からの放射研究の第一歩として、2つの面から、高温窒素プラズマ流の非平衡放射の研究を行った。その第一は、Maecker型プラズマ発生装置による高温窒素プラズマの放射実験、第2は、衝撃波背後の非平衡緩和流からの放射に関する理論的研究である。 1.Maecker型プラズマ発生装置による非平衡窒素プラズマの放射実験。 細い円柱状の空間内で大電流アーク放電を行い、熱ピンチ効果で安定した高密度プラズマを作る本装置を、低電流・低圧力条件で操作して高温度の非平衡プラズマの実験に応用した。窒素を用い、放電条件を圧力=30Torr、放電電流=30〜60Aとすると、気体温度は9000〜11000K,分子振動温度(=電子温度)は12000〜13000K,電子密度〜10^<16>cm^<-3>程度の状態になり、有効な装置であることが判った。さらに、本装置で発生させたプラズマの非平衡放射強度を測定し、理論計算と比較するとよく一致した。理論計算には、プラズマ組成計算、分子と原子の衝突・放射過程計算、放射強度計算が含まれるが、実験との一致性から、理論に含まれる非平衡解離反応速度、分子と原子に対する衝突・放射過程モデルなどが妥当であると判った。 II.強い窒素衝撃波背後の緩和領域からの非平衡放射の理論計算。 衝撃波管内を進行する衝撃波背後の緩和領域の流れ状態を3温度モデルと、詳しい過程モデルを用いて数値計算した。緩和流内の温度分布と上記実験研究から妥当と判明した衝突・放射過程計算に基づく放射強度分布を既存の実験的分布と比較すると、概ねよい一致が得られ、空気プラズマへの適用が可能であると判った II.問題点 非平衡状態での各種反応定数、分子の衝突・放射過程計算における衝突遷移速度係数、高温領域における分子振動緩和時間、強い衝突波の実験データの不足など。
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