進行磁場内における磁性流体の流動のレーザ計測に関して、今年度の研究によって次の成果を得た。 1.通常型レーザドッブラ流速計による計測 磁性流体は非常に光を通しにくい黒色不透明な液体であるが、ごく短距離であれば光が通過する。そこでまずアルゴンレーザ(出力約1W)を用いた市販の後方散乱式LDVを用いて回流式開水路内における磁性流体の流速測定を行い、その限界を調べてみた。その結果、市販のW-40(重量濃度17.5%)という磁性流体を用いた場合、それを約580倍に希釈しなければ測定は不可能であることが判明した。この濃度は低すぎ、磁性流体の特徴が現れ難い濃度である。この実験から通常型のLDVによる磁性流体流動の計測は非常に困難であることが分かった。 2.光ファイバレーザ流速計による計測 上記のように磁性流体の中の光の通過率は非常に悪い、そこで直接光の透過光強度は、散乱光に比べ数段強いことに注目して、レーザ2焦点流速計を参考にした新しい局所流速測定法を開発した。これは、光ファイバの間をトレーサ粒子が通過する時間を測定することによって局所流速を測る方法である。この測定法を用いた場合、比較的高濃度の磁性流体でも計測できることがわかったため、この方法をリニアモータで印加される進行磁場により誘起される磁性流体の回流路内速度分布の計測に適用し流れ場の検討を行った。その結果、磁性流体は磁場の進行方向とは逆向きに流れが誘起され、進行磁場によって誘起される流れの流速分布は、実験範囲において周波数、励磁電流に比例していること等の知見を得た。
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